抗菌とアロマテラピー
今、新型コロナウイルスが世間を騒がせ、ドラッグストアなどではマスクの売り切れ状態が続いています。そこで今回、精油を使ってできる対策をご紹介します。
新薬と耐性菌の戦い
かつてペニシリンが開発されたとき、世の中は「これで感染症がなくなるだろう」と胸をなでおろしました。そして、多くの人びとがたくさんの抗生剤を使用しました。
しかし問題が起こります。数多くの耐性菌が出現したのです。
そこで、研究者は新たに出現した耐性菌に有効とされる新薬を開発します。やっと安心できると思いきや、耐性菌はまた変異します。すると、人間はさらなる新薬の開発を迫られることになります。
こうした、いたちごっこの攻防はいまだに終わりが見えません。むしろ薬剤耐性菌の広がりは世界的に深刻な問題となっているようです。
新たな抗菌薬の開発は、収益性や開発コストなどの面で取り組みづらいという現状があるそうです。また、すでに出回っている一部の抗生剤についてもアレルギー反応をおこしたり、神経系や臓器に対する毒性が問題になったりしています。
抗菌剤としての精油
そんな中、抗菌剤としての精油に注目する研究者が増えています。精油とは、植物の成分を抽出したエッセンスですが、この精油を化学的に研究し、精油の抗菌活性についていくつもの論文が発表されています。
多くの人は、「アロマテラピーは香りを楽しむもの」という認識を持たれていると思います。たしかに、精油の効果に関してはまだ確証のない面もあり、単なる癒し効果として香りを取り入れている方がほとんどだと思います。
しかし精油に抗菌活性があることについては研究データによって明らかにされています。精油の抗菌力が、感染症の治癒に効果的であるとする研究結果も数多くあります。
私自身も多くの方と接する中で、精油に強力な抗菌力があることを経験的に知っています。
とはいえ、今のところ精油が新型コロナウイルスに対して有効であるとするエビデンスは発表されていないようです。
「抗菌スペクトルが広い」ということ
はっきり言えるのは、精油の抗菌作用は「抗菌スペクトルが広い」ということです。つまり、精油が効力を及ぼす病原微生物の範囲が広いのです。
例えば、ウイルスをはじめ、マイコプラズマ類、細菌、真菌、原虫など幅広く有効とされています。
ですから、特に病原菌が確定されていないような初期の段階で、精油の有用性が発揮されると考えられています。
もっと詳しいことが知りたければ、「抗菌アロマテラピーへの招待」(井上重治・安部茂著 フレグランスジャーナル社)がとても参考になりますので読んでみてください。
抗菌に有効な精油
抗菌に有効な精油を以下にご紹介します。
- カユプテ
- ラベンダースーパー
- ユーカリ・ラディアタ
- ユーカリ・グロブルス
- ニアウリ
- ローズマリー・シネオール
- アカマツ・ヨーロッパ
- ペパーミント
- ラビンツァラ
- オレガノ
- クローブ
- タイム・サツレオイデス
抗菌スプレーをつくる
精油を使った抗菌・抗ウイルス対策としては、持ち運びに便利なスプレーがおすすめです。
上記の中から精油を選びブレンドしたものをスプレーに容器に入れて使います。必要なときに手指の消毒や衣服にさっとひと吹きするだけです。
ネットやお近くの店舗で精油をご購入される場合は、成分分析表のある精油であること、ご自身に合うものか、などよくご検討の上、お求めください。